AI Agent間の取引向け標準規格「ERC-8183」
こんにちは、FractonのKeitaです。
最近寄稿したx402 V2 updateの解説に続いて、同じくAI*Ethereumシリーズとして最近注目を集めてるProtocol, ERC-8183について解説していきます。
ERC-8183は、Ethereumの標準提案で、AIエージェント間の商用取引を分散型で実現するプロトコルとして、26年の2/25にVirtuals, EFのdAI teamによって公開されました。
作者は、Davide Crapis (@dcrapis), Bryan Lim (@ai-virtual-b), Tay Weixiong (@twx-virtuals), Chooi Zuhwa (@Zuhwa)の4名です。: ※ハンドルはgithubアカウント
ERC-8183のコア: Jobの仕組み
ERC-8183の中心は「Job」というシンプルな単位です。3つの当事者で構成され、4つのstateを遷移します。
3つのアクター:
Client: 依頼者。仕事を作成し、資金を預ける。
Provider: 実行者。仕事を実行し、成果物を提出。
Evaluator: 検証者。成果物をチェックし、完了か拒否かを判断。評価者はAIエージェント、スマートコントラクト、DAOなど何でもOK(wallet addressだけで定義)。
Jobのstate遷移:
Open: ClientがProviderを指定してJobを作成。仕事の仕様(タスクのスコープ、期限、報酬などの詳細)と期限を記録。
Funded: Clientが支払いをエスクローに預けるとJobが有効化。
Submitted: Providerが仕事を実行し、成果物(またはそのreference、ハッシュ)をオンチェーンに提出。
Terminal: Evaluatorが評価。
Completed: 合格なら資金をProviderにリリース。
Rejected: 不合格ならClientに返金。
Expired: 期限までに提出/評価がない場合、Clientが資金を回収。
上記フローでは資金はCompletedのステータスになるまで動かず、成果物そのものが検証可能です。すべてオンチェーンで記録され、reputationとして保持/参照可能になります。
例: Clientが「画像生成」を依頼。Providerが画像を提出。Evaluator(AI)が依頼通りかをチェックし、合格なら支払い、ダメなら返金する。など
Evaluatorのパターン:
ERC-8183のEvaluatorは、目的に応じてさまざまな種類/方法の組み合わせが考えられます。
主観的なタスク(e.g. デザイン): AIエージェントによる評価/判断
客観的なタスク(e.g. 計算): ZKPを使ったスマートコントラクトでの自動検証
高額取引: 多重署名やステーキングベースのバリデーターによる検証
Hooksの役割:
シンプルなJobに「Hooks」というオプションのスマートコントラクトを追加可能にしています。これにより、各状態遷移の前後にカスタムロジックの実行が可能で、開発者が追加の機能やメカニズムを差し込むことを奨励しています。
Hooksの例
Fund Transfer Jobs: クライアントの資金をProviderが運用(例: agentに委任する投資)。Hooksで資金の返却を保証。
Bidding Jobs: 入札制のJob。Providerが価格を署名でコミット。
Reputation-Gated Jobs: 評判チェック(ERC-8004連携)で低評判者をブロック。
Privacy-Preserving Jobs: ZKPで機密データを保護。
Risk-Assessed Jobs: ステーキングや担保を要求。
ERC-8004, x402との連携
ERC-8183は単独ではなく、ERC-8004(Trustless Agents: エージェントのID、評判、検証の標準), x402との連携を前提にしています。
ERC-8004との連携:
ERC-8004でAgentを発見・信頼評価。
ERC-8183で商用取引を実行。
取引結果がERC-8004の評判を強化。
reputationの蓄積によりより精度の高い発見→より多くの取引の呼水に。新しいエージェントはJobをこなして評判を築き、次回の取引で有利に。
x402との連携
x402は「支払いフロー」を担当し、ERC-8183は「支払いの条件と信頼」を追加します。シンプルな取引であればx402のみで機能しますが、複雑なtask(例: 検証可能な信頼性が必要な場合など)はERC-8183のJobでエスクローを組み合わせます。結果、x402の支払いがERC-8183のライフサイクル内で条件付きになります。
例: エージェントAがエージェントBに画像生成を依頼。x402で支払いインテントを署名(オフチェーン)し、ERC-8183のJobで資金をエスクロー。Bが提出後、評価者がOKしたらx402経由でリリース など。
ERC-8183はbeyond paymentsと掲げて、単なる支払いのユースケースだけではなく、信頼/検証のインフラ(エスクロー、検証、紛争解決、評判) 全体をサポートすることを目指しています。
まとめ
アツい標準が出てきました。
8004, 8126, x402あたりの標準と補完的に組み合わせる前提になっていて、現実的にagent to agentによる経済活動のインフラのパーツが整ってきた感があります。
このようにJobや成果単位でagentを制限、管理、reputation記録していく流れはcryptoに関わらず、Agent周りのstartupの中で共通してみられるようになりました。
(また、Ethereum開発者たちと周辺でのAgent向け標準の提案スピードと広まり方もEFのdAIチームの取り組みも影響してか、よりスピードアップしている気がします。)
引き続きAgent*Crypto領域に張るbuilderとのideaのdiscussion, Co-Developを歓迎しています。我こそはという方、気軽にご連絡ください。
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