こんにちは、Fractonのビニールです。
2026年8月26日(水)に、東京ドームシティの enXross DAO で Ethereum Meetup Tokyo Vol.25 を開催しました。テーマは「Road to ETHTokyo」です。9月19日から27日にかけて東京各所でハッカソンやサミットが連続する ETHTokyo Week 2026 を前に、そのイベントウィークの運営に関わっている人達から直接お話を聞く回として企画しました。
目次
EIP-8363——ステーキング報酬をゼロに向かわせる提案と、その反発
Gnosis Chain が Ethereum Economic Zone へ
ETHTokyo Week 2026 の歩き方
Nyx Foundation オフィスアワー 第1回
参考リンク
1. EIP-8363について(Fracton Ventures発表)
この1か月でタイムラインを最も騒がせたのは、8月4日に投稿された EIP-8363「Tapered Issuance Burn」 です。バリデーター報酬の一部をバーンし、ステーク量が増えるほどバーンする割合を引き上げる提案で、6,025万ETH(供給量のおよそ50%)に達した時点でバーン率が100%となり、新規発行が実質ゼロになる設計です。背景にはステーキング比率の急上昇があります。ステーク済みETHは過去最高の約34%に達し、有効化までの待機列は約40日に伸びています。追加のステーキングがセキュリティ向上にどれだけ寄与するのか、その一方でステークしない保有者の希薄化をどこまで許容するのか、という問いが出発点です。
反発は投稿から半日ほどで広がったとされています。Aave の創業者は「最も反発された提案の一つ」と評し、ether.fi や Lido のチームからも否定的な意見が相次ぎました。論点は、現状でも3%を切る利回りがさらにゼロへ向かう図を示すこと自体が資金流入を止めるという主張と、影響を最も強く受けるDeFiプロトコル側が議論に参加しないまま提案が公開されたというプロセスへの批判の2つです。会場では、報酬を払い出したあとにバーンする挙動に読めるため、受領時点で課税される日本の税務では扱いが厄介になりかねないという指摘も挙がりました。ステークホルダーが揃わないまま設計が進むと、こうした地域固有の論点が抜け落ちやすくなります。なお本提案はドラフトのままで、いずれのアップグレードにも採用されていないとのことです。
2. Gnosis Chain が Ethereum Economic Zone へ(Fracton Ventures発表)
もうひとつ取り上げられたのが、GnosisDAO の提案 GIP-153 の可決です。賛成123,158 GNO、反対115、棄権151という結果で、定足数を大きく上回って承認されました。内容は、Gnosis Chain が独自のL1をたたみ、Ethereum Economic Zone(EEZ) のZK証明ベースのロールアップへ移行するというものです。既存のバリデーターセットは退役し、決済はEthereumのバリデーターに委ねられます。EEZ は Gnosis と ZisK が Ethereum Foundation の資金提供のもとで開発している枠組みで、ブリッジを介さずに複数のロールアップ間で同期的に実行することを目指しています。初期ローンチは2026年後半から2027年前半が目標になっています。
EEZ は以前のEMTでも取り上げ、そのときは「実際に採用するチェーンが出るのか」という質問が会場から出ていました。今回の可決はその最初の答えになっています。ユーザーから見た変化は、L2からL1へ戻してまた別のL2へ移すといった操作を挟まずに、複数のチェーンにある残高を同じものとして扱えるようになる点にあります。一方で、10万を超えるバリデーターが役割を終える点は論点として残ります。これだけの規模の検証者ネットワークが現に存在するのであれば、複数チェーンの状態検証のような新しい役割へ配置し直せるはずです。
3. ETHTokyo Week 2026 の歩き方
今年は3年ぶりに ETHGlobal が東京でハッカソンを開きます。そこでローカル側はハッカソンを ETHGlobal に委ね、1週間を通じて各所でイベントを並べる ETHTokyo Week という形に切り替えました。Ethereum Japan がキュレーションを担い、公式サイトに掲載されているのは次のとおりです。
9月13日〜10月3日: ZuCity Japan Annual Popup City(長野・小諸)
9月18日: Web3Privacy now meetup(Time Out Tokyo)
9月23日: Agentic Summit(東京大学 伊藤謝恩ホール)
9月25日: Ethereum Institutional Summit(招待制・都内)
9月25日〜27日: ETHGlobal Tokyo(虎ノ門ヒルズフォーラム)
9月28日〜10月3日: POST-TOKYO(長野・小諸)
9月28日〜10月11日: Hackatsuon 2026(宮城・気仙沼)
ETHGlobal Tokyo の会期中、9月26日にはカンファレンス Pragma Tokyo が併催されます。ハッカソンの応募要件が今年から緩和され、以前から開発しているプロダクトでも出せる枠が用意された点は、すでに手を動かしているチームには大きな改善です。
Agentic Summit(9月23日)
Fracton Ventures と Nyx Foundation の共催で、東京大学 伊藤謝恩ホールにて11時から18時まで開催します。定員1,000名、参加費は無料です。企業はAIにどこまで委ねられるのかを扱う Enterprise Agents、本物のエージェントであることをどう検証するのかを扱う Know Your Agent ほか、全6セッションを予定しています。会場では、AIエージェント経済の取引件数がこの半年で1億件から10億件規模へ伸びたという話が紹介されました。株式取引が電子化されて高頻度取引が生まれたときと同じ規模の変化が、いま人の意思決定を挟まない領域で起きているという見立になっています。
Ethereum Institutional Summit(9月25日)
Fracton Ventures が主催する完全招待制のサミットで、300席に加えてクローズドラウンドテーブル30席を用意しています。テーマは「The Onchain Enterprise Era」で、ステーブルコインとプライバシー、RWAのトークン化、オンチェーンのトレジャリー運用、機関投資家向けDeFi の4本柱を扱います。登壇者は EthSystems、ETHGas、Optimism、MetaMask、IPOR Labs の各キーパーソンを発表しており、国内の金融機関からの登壇も順次公開します。プラチナスポンサーには ETHGas の参画が決まっています。
4. Nyx Foundation オフィスアワー 第1回(Nyx Foundation発表)
今回から、Nyx Foundation による月次企画「オフィスアワー」が始まりました。Nyx Foundation は「検証できる社会」を掲げ、9名のメンバーが共同生活をしながら研究している組織です。成果は原則としてすべて公共財としてオープンソースで公開しており、脆弱性を発見するAIのように、通常なら企業が社内に抱えて販売するようなものも公開しています。
現在は10のプロジェクトを並行して動かしています。常に形式検証された次世代 Ethereum クライアント Verity、仕様駆動の脆弱性診断AI SPECA、形式検証をAIが自動で書く Atlas Prover、AIエージェント経済のシミュレーター Eris といった開発系のほか、富山県南砺市に拠点を構える Nanto Labでは、地域のライドシェアの安全性担保にAIを使う取り組みや、250年の歴史を持つ伝統工芸である井波彫刻を世界へ届ける取り組みが動き始めています。現在は Verity の開発、ホワイトハッカーコミュニティの運営、Eris シミュレーターの利用者を募集中で、来月以降は毎月3名の学生を交通費と宿泊費の負担つきで招待する取り組みも始めるとのことです。
おわりに
Ethereum Meetup Tokyo を基本的に毎月開催しています。取り上げてほしいテーマやライトニングトークで話したい内容がありましたら、ぜひお声がけください。ETHTokyo Week の運営に関わってみたい方も歓迎します。ご関心のある方は、気軽にご連絡ください。
参考リンク
ETHTokyo Week 2026 公式サイト:
Agentic Summit(9月23日・東京大学)
お申し込み: https://luma.com/a3k78jbq
Ethereum Institutional Summit 2026(9月25日・招待制)
EIP-8363: Tapered Issuance Burn:
Ethereum Meetup Tokyo アーカイブ:










