Fracton Venturesは、2021年から現在までに50以上のプロジェクトのインキュベーションに携わってきました。前号に続き、今回も9月・10月の2ヶ月分をまとめてお届けします。この期間に動きがあった支援先と、Fracton自身の活動をピックアップしてご紹介します。
前号で予告したETHTokyo Week 2026期間中の2つのカンファレンス、Agentic Summit(9月23日)とEthereum Institutional Summit 2026(9月25日)は、いずれも無事に開催できました。開催の様子は、後半のFracton Venturesの節で写真とともにご報告します。
DeltaForesight
シードラウンドでの資金調達と、JPY DeFiのEthereumメインネット公開を完了
📎 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000061.000074402.html
DeltaForesightは、日本円との価値連動を目標とする暗号資産型ステーブルコイン「JPYdf」を、暗号資産を担保に借り入れられるDeFiプロトコル「JPY DeFi」の設計・開発に携わるチームです。Fracton Venturesは、2025年9月の創業期から事業開発、プロトコル設計、Ethereumのコミュニティや国内外の事業者との関係づくりを中心に支援しています。
9月25日、DeltaForesightはCoral Capitalをリード投資家とするJ-KISS型新株予約権の発行により、累計3億2,400万円の資金調達を発表しました。続く10月15日には、JPY DeFiをEthereumメインネットで公開しています。ローンチ時点では、wstETHとUSDCをそれぞれ独立したマーケットの担保として、JPYdfを借り入れられます。10月23日には、Fracton Venturesからも支援の経緯をまとめたリリースを配信しました。
Ethereum上の金融で使われるステーブルコインの多くは米ドル建てで、円で売上を立てて円で会計をする事業者には、暗号資産の価格変動に加えてドル円の変動もかかります。JPY DeFiは、世界のオンチェーンにある流動性を、円を単位とする借入や取引につなげることを目指しています。創業から約1年で、資金調達とメインネット公開という2つの節目を迎えました。
※「暗号資産型ステーブルコイン」は価値の安定を目指す設計を示す呼称です。JPYdfは日本円建ての資産や日本円による償還請求権を表すものではなく、日本円との価値連動、価格の安定、元本の保全はいずれも保証されません。JPY DeFiのフロントエンドは、日本、米国その他の制限対象地域の居住者には提供されていません。本記事は、暗号資産の取得・取引を勧誘するものではありません。
Comoris DAO(Cohort 3)
代々木上原に、舗装しない駐車場「Comoris Parking」の開業を発表
📎 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000153114.html
Comoris DAOは、東京・代々木上原の空き地で都市型の小さな森を育てるシェアフォレストを運営するDAOです。6月号では、Celo上の再生型コミュニティ通貨「FoR」のPhase 1をご紹介しました。
10月23日、Comorisは舗装しない駐車場「Comoris Parking」を10月28日に開業すると発表しました。場所は渋谷区元代々木町で、広さは180㎡、最大6台、24時間営業です。アスファルトの代わりに石・炭・落ち葉・ウッドチップを重ね、雨水が地中にしみ込む構造にしています。駐車場の収益の一部は、緑化や生物多様性、地域活動に回す設計です。11月20日には事業者向けの見学会、11月22日には一般向けのオープニングを予定しています。
10月27日には、東京都日の出町の日の出アートビレッジと共同で、実践プログラム「都市と直売所」の参加者募集も始めました。多摩川上流の木で直売所をつくり、Comoris Parkingに設置するプログラムで、2026年11月から2027年3月まで全6回開催します。森の外にある駐車場という都市のインフラにまで、Comorisの「ケアする場所」が広がり始めています。
Flovia
Base Batches 004」の10チームに選出
📎 https://www.base.org/blog/base-batches-004-cohort
Floviaは、AIエージェントがAPIを見つけ、使い、支払うまでの行動を分析するチームです。7月にはNVIDIA Inception Programへの採択をお伝えしました。
9月末、FloviaはBaseのアクセラレーター「Base Batches 004」の10チームの1つに選ばれました。750を超える応募から選ばれたチームで、Baseは「APIプロバイダー向けに、エージェントが発見・利用・支払いのどこで離脱するかを示すエージェント・コンバージョン・オプティマイザー」と紹介しています。選ばれたチームには、デューデリジェンスを条件として、Base Ecosystem Fundから10万ドルの投資オファーが出ます。Base Batches 004のDemo Dayは、11月18日にニューヨークで予定されています。
9月23日のAgentic Summitでは、CEOのKeita Kuroiwa氏がSession 05「When Agents Transact」に登壇しました。
Effisend(enXrossアクセラレーター 第1期)
東京ドームシティのPudgy Penguinsポップアップで、顔認証決済を実証しました
📎 https://note.com/enxross/n/n25854d77662c
Effisendは、enXrossアクセラレータープログラム第1期でFracton Venturesが支援したメキシコ発のスタートアップです。「高集客な会場のためのOS」を掲げ、顔認証で支払いや入場ができる仕組みをつくっています。
9月24日から10月2日までの7日間(9月26日・27日を除く)、東京ドームシティのenXross DAOで開いた「Pudgy Penguins POP UP SHOP in Tokyo Dome City」で、Effisendの決済アプリを実際の売り場で使う実証に取り組みました。商品はPudgy Penguins、会場は株式会社東京ドーム、決済アプリはEffisendが用意し、Fracton Venturesは企画と売り場の運営を担当しました。
来場者はカウンターのQRコードを読み取り、インストール不要のウェブアプリで顔認証とPINを設定して支払います。enXrossのレポートによると、Solanaでの支払いは約2秒で完了し、7日間を通してアプリやサーバーが止まることもありませんでした。一方で、ウォレットに資産を移す段階で手が止まる方が多いことや、手数料用の資産がないと支払いに進めない場面があることなど、実際の店舗で使ったからこそ分かった課題も見えてきました。採択企業の技術を、東京ドームシティという現場で来場者に使ってもらう実証になりました。
※本記事は、特定のサービスへの登録や利用、暗号資産・ステーブルコインの取得や取引を勧めるものではありません。
Fracton Ventures
Agentic SummitとEthereum Institutional Summit 2026を主催
9月のETHTokyo Week 2026期間中、Fracton Venturesは2つのカンファレンスを主催しました。
Agentic Summit(9月23日・東京大学 伊藤謝恩ホール)
一般社団法人Nyx Foundationと共同主催で、AIエージェント経済をテーマとしたカンファレンスを開催しました。登壇者26名、6つのパネルセッションに約300名が来場し、来場者の約36%は海外を拠点とする方でした。NEC、AWS、Cloudflare、Ethereum Foundation、MetaMask、Flashbots、SMBC日興証券、JPYCなどの登壇者が、AIエージェントが自律的に取引や決済をする世界で、認証・認可、安全性、監査可能性といった「エージェントを信頼するための基盤」をどうつくるかを議論しました。日本語と英語のセッションには日英のAI字幕を付け、言語をまたいで聞ける形にしました。
開催報告: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000060.000074402.html
Ethereum Institutional Summit 2026(9月25日)
金融機関・機関投資家・上場企業を対象とした承認制の国際サミットを、Fracton Venturesの主催で開催しました。テーマは「The Onchain Enterprise Era」です。登壇者37名、来場者は250名以上で、来場者の約37%は26の国・地域から参加した海外の方でした。
Opening FiresideにはEthereum Foundation Presidentの宮口あや氏が登壇しました。野村ホールディングス、SMBC日興証券、三井物産、セブン銀行などの国内金融機関・事業会社と、EthSystems、ETHGas、Optimism、MetaMask、Uniswap Labsなどの海外プレイヤーが、ステーブルコイン、RWAトークナイゼーション、上場企業のETHトレジャリー、機関投資家向けDeFi、各国の規制の比較を議論しました。リテール向けのクリプトイベントではなく、規制・会計・リスク管理という実務者の言葉で、Ethereumの実装を議論する場になりました。2027年に第2回を開催する予定です。日程・会場は決まり次第お知らせします。
閉幕リリース: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000058.000074402.html
Fracton Venturesは、ニッチな領域でユニークなプロトコルを支援し続けています。これを機にぜひチェックしてみてください。Fracton Communityとの協業に関心のある方は、XのDM(@vvinyll)から気軽にご連絡ください。






